この恋の終わりは
「え、でも…。」


他のお客さんには断っているのに
小川さんだけに教えるのは
気が引けてしまう。


だけど、どこか教えてもいいと
思ってしまう自分もいた、


そんな葛藤を抱いていると
それに気付いたのか


「ちょっとは俺の事
気にしてくれてたんだ?」


グッと一気に距離を詰め、
耳元で囁いた。


カッと熱くなった顔を押さえ
一歩後ずさりをした。


「…その反応だと
もしかして脈アリ?」


私を満足げな笑顔で見つめるから、
返す言葉が浮かばなかった。


だって、図星だったから。
ちょっと、ほんのちょっとだけ、
彼の事を知りたいと思ってしまったのだ。


「もちろん。教えてくれるよね?」


今度は断定系で聞いてきた彼に
素直に11ケタの数字を告げた。
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