この恋の終わりは
「…また会ってくれる?」


ギュッと力を込められ
耳元で放たれた言葉に、
私は彼の背中に腕を回して
黙って頷いた。


すると体は離れ
グッと顔が近づいた。


「よかった。約束ね。」


そう言って「また連絡する」と
付け加えて去って行った。



遠ざかって行く車を見ながら
心臓は早鐘を打っていた。



さっき顔が近づいたとき、
キスされるのかと思った。


でも、唇が触れることはなくて
それを残念に思っている自分に
驚きを隠せなかった。


私…


「完全に堕ちてしまった…。」


池上さんからの忠告は
頭の中からすっかり消えてしまい、
チャラそうで紳士的で、時々強引な彼に
恋に堕ちてしまった。
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