この恋の終わりは

「送るよ。
少しでも長くいたいから
歩いて行こう。」


そう言われたのは
行為をしてから
たった30分後の事だった。


きっとこの時から気付いていた。


でも、気付かないふりをしていた。


明日、きっと何か用事があるから
早めに寝たいだけ。
もしかしたら
それが仕事かもしれない。


だからこんなに早く帰るんだと。


そう自分に言い聞かせて
彼の家を後にした。


***


「送ってくれてありがとうございました。」


私の家に着き、
頭を下げると軽いキスをして
彼は帰っていった。


部屋に戻り、
荷物を放り投げ
一直線にベットへ体を投げ出した。


久しぶりに感じた
人の温もり。熱さ。吐息。


でもそれは虚しくて、
だけど愛しくて手放せなくて、
彼の感触を思い出しながら
自分を抱きしめながら眠りについた。
< 50 / 94 >

この作品をシェア

pagetop