この恋の終わりは
夕方の公園には
子供は誰もおらず、
静かな空間が流れていた。


しーんと静まり返ったこの場所は
私にとってとても心地よかった。



「なんでなんだろう…。」


ブランコに座り、
空を見上げて零れた声が
乾いた空気の中に溶けて行く。


バックから
さっき買ったばかりのピアスを取出し


「意味、なかったな…。」


ギュッと握りしめた後、
地面に叩きつけようと
手を振り上げた時、


「美羽ちゃん?」


手首を温かい何かに捕まれ
頭上からした声に
顔を上げると
思いもよらない人物が立っていた。


「い、池上さん…?」


一度だけ、
小川さんに連れて行ってもらったお店の
バーテンダーさんで
小川さんの友達の
池上さんだった。
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