この恋の終わりは
決心が揺らがないように
7㎝のピンヒールのサンダルを履いて
家を出た。


ヒールを履くと
背筋が伸びるから
気を張っていられそうな、
そんな気がしたから。



小川さんの家までの道のりを歩くと
嫌でも蘇ってくる記憶。


なんにも知らなかった
数週間はすごく幸せだった。


この道を2人並んで
手を繋いで歩いた事、
他愛もない話をしたこと、
別れを惜しんでキスをしたこと。


でも、それも今日でおしまい。


起こってしまったことを
なかった事には出来ないけど、
反省しながら新しい恋を探そう。
吹っ切るまで時間はかかるかもしれないけど―――



そうこうしているうちに
彼の家の前に着いてしまった。


ふぅーと大きく息を吐いて
彼に電話を掛けた。
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