この恋の終わりは


だけど本当にそれは錯覚でしかなくて


「……」


服を着た後無言で彼の背に抱き着けば


「暑い。」


その一言で突き放され甘い時間なんてありはしない。


かと思えばベットに横になり拗ねている私に


「美羽これ好きだろ?」


私の好きなミルクティーを手渡してくれる。


…つくづくずるい人。


突き放したと思えば優しくして、
暑いと言ったくせに私を抱きしめる。


私から近寄ることは許さないけど、
自分はずかずか私の心に踏み込んでくる。




私が広翔の彼女の存在を知っていることは
少し前に打ち明けた。


それからだろう。

広翔が前みたいに紳士的じゃなくなったのは。
そして互いの名前を呼び捨てするようになったのは。


暗黙の了解で
私たちを繋ぐものは”愛のないセックス”だと。

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