仲直りの数式
百合は真面目に、「料理やお裁縫が好きだから!」と言って家庭部に入部した。一回も休むことなく頑張っているらしい。

思い返せば、私は数学しか取り柄がないけど、百合は料理や裁縫ができて、おまけに素直で優しい。私とは真逆のタイプだ。

百合だって頑張ったはずなのに、どうして私はバカにしちゃったんだろう。もしかしたら、いつも嫌だったのかな。

そんなことを考えていると、ますますモヤモヤしてくる。フェルマーの最終定理よりも難しい。

私と百合は、仲直りできるのかな?そもそも友達の証明って何なんだろう?

ぐるぐると同じことが回る頭を押さえ、私は机に突っ伏しして考える。

「おい、そこのバカ女!」

頭を叩かれ、私が相手を睨みながら顔を上げるとイチゴミルクを持った奏史がいた。奏史も同じ文芸部に入っていて、小説をいくつも書いている。

「もう素直に謝っちまえよ!友達に証明もクソもあるか!!お前の期待するチャンスなんて、自分で掴んでくしかねぇんだよ!」

いきなりそんなことを言われ、私は「はあ!?アンタに何がわかるのよ!」と言い返す。
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