好きが溢れるその瞬間まで。
~始業式~

愛「おはよう~美桜」

美「あっ、愛矢美!おは~」

歩いて15分の所にある駅で愛矢美は美桜と待ち合わせ、スクールバスに乗った
今日は4月7日月曜日 私たち学生にとって一番大事な日

美「今日始業式だね~今年こそ、勇人と同じクラスになりたいな…」

なんとなく予想してる人もいると思うけど、勇人とは美桜の彼氏

愛「無理だね、毎回クラス替えでリア充は離してるし、てか、都市伝説だし」

この学校の都市伝説で、カップルは絶対同じクラスになれないと言われている

美「バレてないから大丈夫っしょ?私たちの愛は都市伝説なんかに負けないよ」

美桜と勇人は美男美女で出会いも“The青春”って感じで、すごい長続きしてて、ラブラブで誰もが羨むカップルランキングをつけるとしたら1位になれちゃいそうなくらい

愛「でも、確率的に考えてみなよ、7クラスもあるんだよ?結構低いと思う」

私立なだけあって、人気がある愛矢美と美桜の通う明宮中学校はクラスがAからGまであって、愛矢美たちの学年は全部で280人

美「そんな事言わないでよ…(泣)」

約15分のスクバでの移動は、くだらないけど楽しいは話をしながらだから、あっという間に感じる

愛矢美と美桜は有名私立中学校である明宮中学校に通う新中学2年生

愛矢美の幼馴染の大翔と誠斗が明宮中学に通っていて、今年から同じ敷地内にある明宮高校に進学する事をきっかけに、愛矢美も猛勉強して受験をクリア
制服も可愛くて、校舎も綺麗で設備も整ってて
愛矢美の親戚である 滝沢 衣音 通称 たっきー が務めているから、楽しい学校生活が送れると、夢見ていた…


でも、現実はそんなに甘くない。
たっきーの持つクラスになれたものの、もちろん愛矢美に友達はいない。クラスの雰囲気はなんとなく暗くて、誰かに話しかけようなんて以ての外。
休み時間になったら、大翔のところに行こう、と思ったけど、当時中学3年生だった大翔の教室までは道のりが長い。時間も時間だし、諦めて本を読んでると…

美「花園…愛矢美ちゃん…?だよね?」

見上げると可愛らしい笑顔で愛矢美の事を見ていた
確かこの子は後ろの席の林美桜さんだ、と思い
はい、と答えたらいいのか、うん そうだよ、と答えたらいいのか迷い

愛「はい…そうです」

美「そんな、敬語なんて使わなくていいよ!急に話しかけちゃってごめんね!私、林美桜!美桜って呼んで!入学式で見た時可愛いな~って思ってたの!!スタイルもいいし、髪もサラサラだし、この学校の制服バリ似合ってるし、てかてか、花園愛矢美って名前から、もう可愛すぎでしょ!!良かったら、席も近いし、友達になりたいな…って思って…」

こんなに人を褒めるのが上手い人がこの世界にはいるんだな…と感心しながら
心の底から嬉しすぎた愛矢美は

愛「もちろんだよ!!」

と、気づいたら手を握ってしまっていた

美「やった!!愛矢美って呼んでいい…?」

愛「うんうん!!いいよ!!」

これが愛矢美と美桜の出会い





学校につくと、廊下がザワザワしていて、緊張していた愛矢美は突然走り出した

美「あ!愛矢美!まって!!」

ドクン…ドクン…
運命の瞬間…

愛「美桜!同じクラス!!」

よかったって言いたいところだけど、もちろんこれはたっきーに前々から愛矢美が頼んでおいたらしい

美「やった!!!」

廉「俺もだ」

廉は愛矢美と美桜と去年も同じクラスで愛矢美が唯一仲が良かった男子らしい。優しくて、バスケが上手くて、頭が良くて、イケメンで、かっこよくて、ダメなところがないと言われている学年一のモテ男
愛矢美はなんとも思ってないらしいが、噂によると廉の方が愛矢美に長い間ずっと片思いをしているらしい
でも、人気者の廉と愛矢美が話してると、それを知ってる女子達の目が怖いから、美桜がいつも2人を引き離す

美「廉!」

愛「びっくりした~」

廉「ごめんごめん、驚かすつもりはなかった」

「ねぇねぇ、廉くん何組だったぁ??」

今のが廉のファンという名のストーカー
強引すぎて愛矢美も美桜ももちろん廉も好きじゃないけど、何か言い返すとやばい目に遭わされそうで、何も言えない

廉「え、え…また後で…」

愛「うん!後で」

美「やっぱモテ男は違うねーあれで彼女できないとかもったいない」

実は廉は誰からなんて断られても全部断っているらしい
学年のほとんどの女子が廉を狙っているのに未だに彼女ができないのは、やっぱり愛矢美の事が好きだからかな。と薄々勘づいてる鋭い女子達もいるけど、そんなのお構い無しにベタベタくっついて、廉を愛矢美と話せないようにしている


愛「ねーほんと、で、美桜、津田は?」

美「あ、違ったよ」

やっぱり、都市伝説はほんとだった、まぁ嘘だとしても、7クラスもあれば違ってもおかしくないけど

美「とりま、勇人のとこ行ってくるわ」

やっぱりラブラブカップル

愛「はいよ~」

愛矢美も別の方向へ歩きだした…

明宮高校は渡り廊下を渡った所にある、中学では味わえない緊張感がある
この学校は高校までエスカレート式だから、高校では入学式がなく、中学4年生って感じの気分だけど、中学生の愛矢美にとっては、高校生の先輩は大人に見える
けど、多分この人たちは違うと思う

ガヤガヤ…

「きゃー!誠斗君と同じクラス~」
「いいな~でも、私は大翔君と同じクラス!」

誠斗と大翔のファン。
まぁそんなのお構い無しの愛矢美は大翔達を探す


大「愛矢美??」

愛「大翔~!!」

GPSでも付けられてるのかって思うほど瞬間的に愛矢美の事を見つけてくれる大翔
なんて、愛矢美が浮かれていると

コソコソ…
「ねぇ、何あの子中学生じゃない?なんで大翔君に…あんな子が…」

大翔と仲良くする愛矢美に嫉妬した女子達が、愛矢美を睨む

誠「あのさぁ、俺の幼馴染、悪く言わないで貰える?」

そして、いつも愛矢美をかばってくれる誠斗
さすが、自慢の幼馴染

誠「あっち行こ?」

愛「ありがと、誠斗」

ニコッと愛矢美に向けてくれる他の誰にも見せない笑顔。輝いてるねぇ~

愛矢美、大翔、誠斗の3人は、家が隣同士ってこともあって、愛矢美が0歳の時からずっと一緒にいる。
家族ぐるみで仲が良くて、よく一緒に出かけたりもする。3人とも一人っ子だから、毎日のように遊んでて、兄妹みたいな感じ

愛「2人ともクラス違ったんだね」

大翔と誠斗は仲が良すぎて…というより、女子達からの人気が高すぎて、先生達も一緒のクラスにするとやばい事になりそうだから、できないとか…

大「そうなんだよなぁ、毎年なれないんだよ」

誠「てか、俺D組だけど、愛矢美は?」

なんでこんなこと聞くのかって?
それはね、体育祭とか、合唱祭とか、学校行事はほとんどがクラス対抗だから

愛「私?Bだよ、美桜と廉もまた一緒~大翔は?」

大「俺はA組」

愛「うっわ、またクラス対抗違うじゃん」

まぁ、楽しめればいいよね!

大「でさ、やっぱり愛矢美は今年も部活入る気ないの??」

愛矢美は中一からずーっと帰宅部
ピアノのコンクールで忙しい大翔でさえ、中学生の時は合唱部に入ってピアノの伴奏をずっとやってたのに

愛「うん…私、またピアノ始めようと思って…まぁ、ちょっとは迷ったけど、周りの中学と違って、ちゃんとしてれば高校もいけるし…いっかなーって」

実は愛矢美、3年前お父さんが亡くなるまでは将来有望のピアニストと呼ばれるほどの才能を持つ天才少女だった。でも、愛矢美にピアノという素晴らしいものを教えてくれたお父さんが亡くなり、いつの間にかピアノが弾けなくなっていた。もう前のようには弾けないかもしれないけど、愛矢美なりに出した答えだから、お母さんはもちろん反対しなかった

大「そっか~じゃあまた一緒に弾けるといいね!」

今は大翔の方がピアノの実力は断然上
愛矢美が弾かなくなってから、大翔は愛矢美の分まで頑張ってきて、世界で活躍するほどの実力。愛矢美ほどの才能はなかったけど、誰もが驚く天才ピアニストになっていた

愛「うん!!私も弾きたい!」


大「誠斗は相変わらずサッカーだよな」

誠「まぁね、先生にも期待してるって言われたから、高校からは本気でやろうかなって」

誠斗は小さい頃からサッカーが得意で、幼稚園の頃から12年間プロを目指して頑張っている
先生にも期待されていて、サッカー部では中学生の時からスタメンでずっと試合に出てる
性格もいいし先輩からも後輩からもほかの学校の生徒からも好かれている。
もちろん、学校には誠斗のファンがいっぱい

愛「中学にもいるんだよね、誠斗のファン、サインもらってきて~とか言われる」

愛矢美は幼馴染だから、都合よく使われるらしい…

誠「まじかよー、なんか、ストーカーみたいな人いるんだよね、最近、まじこわいわー」

大「モテますねー」

愛矢美が大翔を睨む

大「どうしたの、怖い顔して」

愛「いや、だって…大翔、音楽室でピアノ弾いてたら廊下が女子達で埋め尽くされてたじゃん」

去年の秋ごろ、愛矢美と大翔と誠斗の3人で発表会が近い大翔の演奏を聞くために、音楽室に行き、大翔がピアノを弾いていたら、帰る頃には廊下が女子達で埋め尽くされて。

誠「大翔の方がモテますねー」

愛「どっちもどっち!!もうバイバイ!帰るね」

愛矢美はムスッとした顔で帰ろうとした

大「ちょ、愛矢美まって」

大翔が愛矢美の腕をすっとひっぱって止めた

大「今日、一緒に帰れる?」


またまた渡り廊下を渡って中学校に戻る

廉「お、愛矢美じゃん!」

まぁびっくり、曲がり角からイケメン登場
普通の女子ならキュン死しちゃうくらいの爽やかな笑顔でばったり会った

愛「やほ~」

軽く手を振り返す

廉「高校、行ってたんだ…?」

なんか悲しそうね
疲れてるのかな??

愛「そう!大翔達のとこ行ってたの」

廉「ふーん、あ、そろそろ教室行く?」

愛「うん!」

教室に帰ると…
やっぱり…女子達の視線が怖い

コソコソ…

篠原希望「ねぇ、またあの2人…せっかく廉くんと同じクラスになれたのにこれじゃあ台無し。」

中堂妃十美「それな、花園さんだけ…ずるすぎ調子のんなよ…」

聞こえるように言ってるの?それとも私が地獄耳なだけ?わかんないけど、なんかごめんなさい…。
ちなみに今のは同じクラスになってしまった 篠原希望さんと中堂妃十美さん
まぁいわゆる廉のファン
私が仲良くしてると影でコソコソ言ってくる。
廉には俺が勝手に話しかけてるだけだから気にしなくていいよって言われたけど…

美「大丈夫?」

愛「うん!大丈夫だよ」

作り笑いでなんとか誤魔化す

美「はい、作り笑いしない、ちょっと2人で居よ?そしたら、落ち着くんじゃない?」

廉「そうだね、なんかごめんな」

さすが美桜。作り笑いまで分かっちゃうのか…
廉、こちらこそごめん。


まぁいつもの学校生活はこんな感じ
で、まぁこの後始業式という名の特に何もしてない校長が偉そうに長々と語る会があって、下校の時刻

美「愛矢美ばいばい~」

愛「うん!ばいばい~」

美桜はこの学校のバド部のキャプテンで、大会が近いからって、同じバド部の勇人と自主練をするらしい

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校門で待ってるね!
見かけたら声掛けて

大翔
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今日帰りは何時頃?
大事な話があるから
寄り道しないで
帰ってきて

お母さん
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2件立て続けに来るって何事??
とりあえず、急ご

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