でこぼこ。

「オレさ…」
廊下を歩きながら、ボソッと翔馬が呟く。

「歌澄の好きなヤツ…分かった。」

ズキン…

アレ?なんだ今の。

「へぇ…誰?」
とりあえず平静を装って問いかける。

「お前。」

「ふー…は?」

「だから…」

「オレ?」

「うん。」

「は…?」
嘘だろ…?
じゃー…両想いじゃん!

「諦めてくんね?」

「は?」

何言っちゃってんのコイツ…

「オレ、昔から歌澄のこと見てきた。生まれた時から、ずっと一緒だった。大好きだった。だから、お前にとられたくない。お前…歌澄のコト好きなの?」

好きに決まってんじゃねーか。

「オレは…」

“好き”
その二文字が、なぜか口にできなかった。
代わりに…

「別に?アイツでかいし。オレの恋愛対象じゃねーから。」

そんな嘘を平気で呟くオレって、もしかしたらすごい俳優になれんじゃね?

「そっか。ならいいんだよ。」
と言うと、ニコッと笑う藤原翔馬。
…なるほど。この笑顔に女子は惹かれるのか。

…オレには無理だ。



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