雅也の憂鬱な1日
「あー……一応、カレーを作ったんですが……」


 俺の言葉に驚いた彼女が目を丸くして俺を見る。


「え?……雅也さんが?」


「でも失敗してしまって……作り直した方がいいかと」


 恥ずかしさで彼女から視線を外しそう言うと、慌てた様に彼女が口を開いた。


「そんな!折角雅也さんが作ってくれたカレーを捨てるだなんてもったいないです!私全部食べます!」


「でもなんか苦いし……」


「味なんて気にしません。雅也さんが作ってくれた事に意味があるんです。ありがとうございます……とっても嬉しい……」


 瞳に涙を浮かべて満面の笑みでそう言う彼女にトクン――と胸を打つ。
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