あの子を好きな君が好き

青空から降り注ぐ眩しい光が

風の音と共に聞こえる虫の音が

ジワリと額に滲む汗が

私たちに初夏を告げている



もうすぐ夏休みだ。



「芽衣!ホラ帰るよ〜」

「ごめんごめん今行くっ」

机の中に忘れ物がないか
手と目で二重確認を済ませて
私は教室を後にした


1階に降りて玄関に向かうと、
既にローファーに履き替えた愛莉が
まだか と言わんばかりの表情で
慌てふためく私をみて笑った。

「ほんっと、芽衣ってばそそっかしい」

「ごめんってー」




日向芽衣(ひなた めい)
高校2年生の16歳。


「まぁそんなとこも可愛いよ、あんた」

この姉御肌な彼女は
山本愛莉(やまもと あいり)
友達歴6年目。

私のことを何でもわかってくれて
とても信頼できる大切な存在。

たまに雑誌の読者モデルをして
スナップ撮影になんか声をかけられちゃうような
容姿端麗な愛莉は私とは真逆のタイプだけど
すごく気があうし、一緒にいて何より落ち着く。
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