あなたを、海賊の僕が奪うから
緑に包まれた小さな島の波打ち際に倒れていた香織は、ゆっくりと目を覚ました。香織の体を包み込むように倒れている湊の姿を見た香織は、驚きを隠せなかった。
(な、何で…こいつが?)
「…っ」
湊は、小さく動いて目を開けた。香織と目が合い、湊は優しそうな笑みを見せた。普段、意地悪そうな笑みしか見ていない香織は、彼の笑みに驚く。2人は、立ち上がって辺りを見渡した。
「どこだろ。てか、何でお前がここにいるんだよ」
「僕が、香織の後に続けて海に飛び込んだだけだよ。誰も香織を助けようとしてないから」
湊は、また意地悪そうな笑みを見せた。香織は、その笑みを見て呆れた顔を見せる。
(…嘘が下手か。どうせ、私を助けるために飛び込んだんでしょ)
「探検に行こうよ。もしかしたら、凄いお宝が眠っているかもしれないよ?」
意地悪そうな笑みを浮かべたまま湊が島に向かって歩いていく。その後を、香織は慌てて追いかけた。