あなたを、海賊の僕が奪うから
村にいた海賊を全て倒し、湊たちに向かって長老は頭を下げた。
「ねぇ、長老。この島に本当に宝なんてあるの?この手紙…」
湊は、1枚の手紙を長老に見せた。それを見た長老は、目を伏せる。
「これは…俺が書いたものだ」
長老の後ろから男性が現れた。この男性は――海斗の父親だ。
「久しぶりだな。海斗」
「あ、お父さん…」
海斗が男性に抱きついた。湊は、それを無表情で見る。
「海斗、心配かけてごめんな。俺、嵐の後にこの島に流れ着いたんだ。その手紙は、俺が適当に作ったものなんだよ…湊くん。君の父は…生きていない」
海斗の父は、真実を告げた。湊は、辛そうな顔をした。香織は湊のいつもの態度と違うことに気づき、心配になった。
「…俺も船に乗せてほしい」
海斗の父がそう言い、香織は無言でうなずく。そして、香織たちは先に仲間が戻っている船に乗り込み、海斗の父を仲間に紹介した。
海斗の父が…ではなく、海斗が舵を握る。そして、船を動かした。