溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
あぁ、やっぱりダメなんだ、、、

私はまだ動けない。

あの日から一歩も進めてない。

けど、、、


「東雲さん、七宮さんに伝えてください。私は、楢岡 希は元気ですって。大地の分もしっかり生きてるって、忘れずに前を、、、前だけ、、見て、、、」

泣きたくなんてないのに

この人の前で弱くなりたくないのに。

「うん。伝えるよ。」

「それと、、、大地が助けた子は、、、東雲さんの姪ごさんは元気ですか?」

「元気に幼稚園に通ってるよ。そして毎日空に向かってこう言ってるそうだ。"天国のお兄ちゃん、ありがとう、るなは今日も元気だよ"って。」

東雲さんの目にも涙が浮かんでた

私だけが立ち止まってる。

大地のお父さんも、るなちゃんも、慶太もみんな前を見つめてるのに

「無理するな。無理やり前を見なくていい。立ち止まっても、振り返ってもいい。ちゃんと、今を生きてればそれでいいから。」

なんでわかったんだろう

私の心を見透かされたのに、嫌悪感なんかなくて。


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