溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
応接室以外は全面防弾のガラス張り。

閉塞されない開放感に溢れた環境は、堅苦しい仕事には最適だ。

念のための入り口のドアは二重構造で重い。

なのに、アポなしでも門前払い出来ないのはどうにかしてもらいたい。

アポなしでも一応事務が面通りしなきゃない。

それがなければ更に快適なのに。

朝イチのコーヒーで寛ぎながら書類に目を通してると、インターフォンが鳴る

もう一人の事務、梶谷さんが出ますと言ってモニターを確認した。

「はい、どちら様でしょうか?」

「本日からお世話になる弁護士ですが、、、」

「お待ちください。」

通話を切って、デスクにいる棚橋さんへ視線を送る

「棚橋さん、新しい弁護士さんがお見えです」

「あー、わかった。通して。」

棚橋さんは立ち上がると入り口へと向かった。

席に戻った梶谷さんが私に耳打ちする

「超イケメンでした。モニター越しであれだと、現物ヤバいですよー!」

「そうなの?へー。」

「もう、楢岡さんたら。もう少し恋愛に興味持ってくださいよー。恋ばなしたいのにー。」

「今はいらない。仕事に生きるの。」


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