溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
マスターは顎ひげを触りながら、うーんと、斜め上を拝んだ。

「俺もそこがわからん。あいつはあまり女に心を開かない。本気になったことも一度位しかないんじゃないかなー。」

「え?それってどういう、、、」

「深くは言えないけど、俺が見てる感じ、楢岡さんのこと本気とは思えない。」

「なんで、そんなこと」

「付き合い長いから分かるんだよ。本気なら、恋人がいる君をそのままにしておくはずがないからね。だからなぜ執着するのかは理解出来ん。」

「そのままって、本気じゃなかったら私の存在って何なんですか?」

「独占欲強いから、他に男とか無理な奴だよ。ましてや恋人がいると分かれば、それ以上詰め寄ったこともないしね。本気以外にはものすごく淡白だよ、あいつ。」

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