溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
奥深いところで張り詰めていた糸がプツンと切れた音が聞こえた。

一度切れてしまえば、直しかたなど知るわけもない。

戻る道も、手段も何一つない。

「あと30分てとこだな。休憩するか?このまま行くか?」

「東雲さんが疲れたなら休憩しましょう」

「ん?いや、俺はいいけど、、、お前どうした?」

「え?」

「気遣われると気味悪いと思って」

「遣わなきゃ遣えって言うし、遣えば気味悪いって、本当素直じゃないですね。」

「んー、お前らしくないと思っただけだ。まあ、気にするな。」

わかんない。

私らしいって何?

なんて言えばいつも通りだったわけ?

でも、ほんの一瞬だけ、、、

東雲さんのことを考えてた。

それが"らしくない"の根源だったのか。


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