溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
もつれにもつれて、スレ違って、歯車が完全に噛み合わなくなった。

私の一方的なわがままで結局は慶太とも別れ、傷つけてしまったから。

もう、私には誰かを愛することも許されない。

私のせいでみんな不幸になる

それなのに慶太の態度は何一つ変わらない。


「希、大丈夫?ちゃんと寝れてる?」

「うん、ごめんね。相変わらず心配ばかりかけて。」

「俺が好きでやってることだから。」

「慶太は優しすぎる。優しすぎてしんどいよ。」

「希専用。だからって、気負いしないで。元の関係に戻っても俺は変わらないから。」

「ありがとう。本当、感謝しきれない。」

慶太と友人になって5年。そのうち、恋人だった期間は3ヶ月あまり。

だけど、ただ友人でいた頃よりも、恋人としての3ヶ月があったあとの方が隔たりがなくなった。

ギクシャクして疎遠になるのを覚悟した私にとって、あのときの慶太の言葉はきっと一生忘れないと思う。

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