溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
久しぶりにゆっくりとした時間を過ごせたかも。

忙しい仕事に追われてばかりじゃ、心も枯れちゃうし。

「そろそろ帰りましょうか」

「9時か、、、。じゃあ、送る」

伝票をさりげなく持って会計に向かう東雲さんを呼び止めた。

「自分の分は払います」

振り返った東雲さんは、キョトンとした顔で静止してる。


あれ、、、なんか早まった?

奢るつもりもねーよ。とか言われるパターン?

恥ずかしすぎじゃん、私。

いやいや、止まりすぎでしょーに。

「あの、東雲さん?」

「、、、あー、いらない。」

「ダメです。ちゃんと払わせてください。」

「なんで?」

え?なんで?

いや、逆になんでよ?

付き合ってるわけでも、夫婦でもなんでもない人にご馳走になるとか、私の辞書にありません

「奢られる謂れはないので。」

「お前、かわってるな」

「一般的にですか?」

「うん、まぁ。そんな風に遠慮されたの初めてだわ」

「そうですか。じゃあ、ちゃんと半分受け取ってくださいね。」

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