溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
無理やりにキスをされた日から数日

何事もなかったように私も東雲さんも、平然と仕事をこなしている。

ホッとした。

それが本音。気まずいとかギクシャクして仕事に差し支えたら困るから。

きっとあれは気の迷い。

お互いになかったことに出来る位の些細な事。

梶谷さんの相談事、それはあの日の私にとっては地獄の時間だった。

“東雲さんが好き。楢岡さん、一緒にいる時間多いから色々聞き出して欲しい“

よくあるパターンだ。

あんなキスのあとじゃなかったら、もっとスムーズに会話も出来たかもしれない。

だけど、聞きづらい。

仕事以外の会話をする気力がない。

だから、有耶無耶のまま今に至る。

梶谷さんには何度も催促されるけど、そんなこと聞ける雰囲気でもない。

自分で聞いてくれ。

そう、投げ掛けたいくらい。

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