溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
もし、裁判になれば容易なことではない

慰謝料も何もないなら、裁判をするのは奥さんの荷が重くなるだけ。

円満に解決するには、旦那さんが慰謝料や養育費の有無に応じてくれること。

これが一番いい

後日、旦那さんの話も聞くため東雲さんは約束を取り付けたらしい。

うまくまとまってくれたらいいんだけど、、、。



この仕事をしてると、いろんな人生に直面する。

そのたびに、考えさせられ、悩み、自分の人生と置き換える。

あくまでも想像するしかないけど、気持ちを共有することによって、見えてくることもあるから。

東雲さんは旦那さんにどう語りかけるんだろう。

「東雲、来月の講演会なんだけど、泊まりにするか?」

棚橋さんが来月の予定表を見ながら、声だけを東雲さんへ向けた。

「あー、誰とだっけ?」

「俺と東雲、助手は楢岡さん。日帰りでもいいけど、ギりなんだよなー。」

チラッと一瞬だけ東雲さんの視線が私へ移った。

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