溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
一番端っこのカウンター席に腰をおろして、背もたれにバッグをかけた。

「希ちゃん、なに飲む?それとも慶太に作ってもらう?」

「いえ、マスター、マリブパインください。」

「じゃあ、久しぶりに来てくれたからその一杯は僕からのサービスね」

「ありがとうございます。やったー!」

本当、やることがスマートすぎる。

ライトダウンされたアメリカン調の店内

中に立つマスターの背面には備え付けの棚に、ビッシリとお酒が並んでる。

グラスを持つマスターの手をぼんやりと見つめてしまう。

「そんなに見つめられると、イケナイことしたくなるよ?」

不敵に笑ったマスターの顔がカウンター越しにグッと近づく。

ドキン、、、

真剣な眼差しに動けなくなってると

「マスター、希をイジメないでください」

ハッと我にかえると入り口に、両手いっぱいのビニール袋を提げた慶太が立っていた。

マスターは顔をあげるとイタズラに口角をあげた。

「あぁー、もう少して希ちゃんにキスできたのに。残念だなー。」

< 44 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop