溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
はぁーーーっ、と息が切れるくらいに深く吐き出された。

「なにそれ。別れんのが嫌で拒否ってんの?たまたまそいつと上手くいかなかっただけで、他のヤツもそうとは限らないだろ。単なる言い訳にしか聞こえない。」


あぁ、そうか。

やっぱり言葉足らずだった。

適当にかいくぐろうなんて思ったからだ。

半分ほど残っていたモスコミュールを一気にあおった。

「そうじゃないんです。別れたんじゃない。彼はもう、この世にいないんです。愛したまま、、、最期に会ったときは、冷たかった。あんなに温かかった優しい手も、好きだと言ってくれた唇も、沢山抱きしめてくれた身体も、、、全部動かなかった。私は、あの日から止まったままなんです。」

自然と涙が落ちた。

こんなとこで泣くなんて、、、

「、、、ごめん」

東雲さんはそれだけしか口に出さなかった。

ただ、そっと肩を抱き寄せて、涙が出なくなるまでそばにいてくれた。



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