溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
お前が欲しい
慶太と一緒にいることを決めた翌日、東雲さんからコンタクトがあった

事務所の向かい側にあるカフェへ入る直前に呼び止められ、振り返ると久しぶりに視線が絡む。


「一緒にいいか?」

「お好きなようにどうぞ」

可愛いげのない返事。

けど、可愛く愛想を振り撒く必要もない。

「悪かった。ずっとそのままにして」

「謝られる謂れはないですけど?」

「また、遠くなった」

「何がですか?」

「お前との距離感。出張のときは近づいた気がしたのにな。二週間も放っておいた罰か」

「勘違いしないでください。別に私はあなたとどうこう交わるつもりはありませんから」

「、、、、なんかあったか?」

「答える義務はありませんが。」

「まだ、勝負の期限は有効だ。答える義務はあるだろ?」

こんな押し問答してたらお昼ご飯も食べれない。

時間の無駄になる。

「この二週間で私の状況は大きく変わりました。もう、恋人がいますから、勝負はなかったことにしてください。」

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