嘘つきは恋のはじまり
夜には脱水症状も治まり、ケロっとした顔の母がいた。
いつもの母だ。
それを見て、ほっと胸を撫で下ろす。
「咲良、お母さん手術受けない。」
「はい?」
突然の母の宣言に、私は目を丸くする。
ベッドの横に座っている父を見ると、力なく首を振る。
「さっきからこうなんだよ…。母さんは昔から頑固なんだよなぁ。」
父の説得にも応じないとなると、私の出る幕ではない。
だけど、手術を受けないとなると、余命宣告をそのまま受け入れるわけで。
それは母がいなくなってしまうということで。
そんなの、嫌だ。
「どうして?手術すればよくなるのに。」
「生き長らえたって仕方ないわよ。」
「そんな…。」
「まあ、心残りはあんたが結婚できるかが心配なだけ。」
心残りに自分のことではなく私の結婚とか言い出すあたり、自分の母らしいなと感じてしまう。
いや、今はそんなことを思っている場合ではない。
「彼氏ならいるわよ。心配しないで。だから手術受けてよ。孫の顔見てよね。」
私は母に手術を受けてもらいたい一心で、口からでまかせを言う。
「本当にいるの?」
「いるわよ。」
「だったら紹介してちょうだい。そしたら手術受けるわ。」
駄々っ子のような母の発言に、私は冷や汗をかきながらぎこちなく頷くしかなかった。
いつもの母だ。
それを見て、ほっと胸を撫で下ろす。
「咲良、お母さん手術受けない。」
「はい?」
突然の母の宣言に、私は目を丸くする。
ベッドの横に座っている父を見ると、力なく首を振る。
「さっきからこうなんだよ…。母さんは昔から頑固なんだよなぁ。」
父の説得にも応じないとなると、私の出る幕ではない。
だけど、手術を受けないとなると、余命宣告をそのまま受け入れるわけで。
それは母がいなくなってしまうということで。
そんなの、嫌だ。
「どうして?手術すればよくなるのに。」
「生き長らえたって仕方ないわよ。」
「そんな…。」
「まあ、心残りはあんたが結婚できるかが心配なだけ。」
心残りに自分のことではなく私の結婚とか言い出すあたり、自分の母らしいなと感じてしまう。
いや、今はそんなことを思っている場合ではない。
「彼氏ならいるわよ。心配しないで。だから手術受けてよ。孫の顔見てよね。」
私は母に手術を受けてもらいたい一心で、口からでまかせを言う。
「本当にいるの?」
「いるわよ。」
「だったら紹介してちょうだい。そしたら手術受けるわ。」
駄々っ子のような母の発言に、私は冷や汗をかきながらぎこちなく頷くしかなかった。