嘘つきは恋のはじまり
駅前のちょっとお洒落な居酒屋に入ると、男性陣はもう集まっていた。
私は亜美ちゃんたち女性陣の一番後ろを控えめについていく。
席はロールカーテンで個室のように仕切られ、堀ごたつになっていた。

「お待たせしましたぁ。」

亜美ちゃんが普段より少し高めの声で挨拶をする。
男性陣は3人、女性陣は4人だ。
人数の違いに、もしかして私は無理やり参加させてもらったんじゃないかと頭を過る。
けれどよく見ると、私の前の空席にもお箸や取り皿が用意されている。

「ごめんね、一人遅れて来るんだ。」

私の視線に気付いてか、斜め前の男性が申し訳なさそうに言った。

「あ、そうなんですね。」

こじらせアラサー女子には合コンすらハードルが高い。
出会いを求めて参加したくせに、上手く会話を続けることができなくて皆がしゃべっているのにひたすら相槌を打つのが精一杯だ。

年齢を重ねたからか、バカみたいに笑い転げることが少なくなった。
やっぱり合コンは若い子がやるものかなぁ?なんて、お酒をちびちび飲みながら、ぼんやり考えていた。
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