嘘つきは恋のはじまり
私の人生、後悔してばかりだ。
どうしても一歩が踏み出せなくて、あとから悔やんでしまう。

小学校のときもそう。
未だに忘れられない思い出が二つある。

鼓笛隊のベルリラに憧れて鼓笛隊に入ったけど、ピアノを習っていたせいでピアニカを推されて嫌だと言えなかった。
ベルリラがやりたいと言えなかった。

だいちゃんが転校するとき、ただただ悲しくてちゃんと別れを告げることができなかった。
絶対また会おうねって言いたかったのに言えなかった。
住所も聞くことができなかった。

いつもいつも後悔して、その度に反省して次こそはって思うのに、なかなか上手くいかない。
後悔が積み重なっていく。

大人になるまでに引っ込み思案を直したくて勇気を出そうと思っているものの、やっぱり今回もダメだった。

連絡先交換しませんか?

たったこれだけのことなのに。
なぜか言えない。

もういい大人になったというのに。
自分の性格にほとほと嫌気がさす。
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