嘘つきは恋のはじまり
病室へ駆けつけると元気そうな母がいた。
すでに来ている父と談笑している。
ほっとするも、点滴の袋がいつもよりも大きいことに気付きドキリと緊張した。
「あら、今日は早いのね。」
「なんか、同意書を書くって聞いて…。」
言いつつ、サイドテーブルに書類が置かれているのが目に入った。
私の視線を追って、母が言う。
「もうお父さんに書いてもらったから大丈夫よ。それで早く来たの?何だか悪かったわねぇ。」
何でもないように笑う母だけど、私には何でもなくはない。
というか、こんなときまで気丈に振る舞える母がすごいと、素直に感じた。
結局同意書とは治療方針に関わるもので、手術前に肝臓の一部(悪い部分)を殺して残りの肝臓を大きくするというものだった。
母の癌は、肝臓にも影響を与えていたのだ。
見えないところで母の体を蝕む癌。
どうすることもできない私。
もどかしい。
私にできること、何があるだろう?
すでに来ている父と談笑している。
ほっとするも、点滴の袋がいつもよりも大きいことに気付きドキリと緊張した。
「あら、今日は早いのね。」
「なんか、同意書を書くって聞いて…。」
言いつつ、サイドテーブルに書類が置かれているのが目に入った。
私の視線を追って、母が言う。
「もうお父さんに書いてもらったから大丈夫よ。それで早く来たの?何だか悪かったわねぇ。」
何でもないように笑う母だけど、私には何でもなくはない。
というか、こんなときまで気丈に振る舞える母がすごいと、素直に感じた。
結局同意書とは治療方針に関わるもので、手術前に肝臓の一部(悪い部分)を殺して残りの肝臓を大きくするというものだった。
母の癌は、肝臓にも影響を与えていたのだ。
見えないところで母の体を蝕む癌。
どうすることもできない私。
もどかしい。
私にできること、何があるだろう?