嘘つきは恋のはじまり
いつも通り定時で仕事が終わり、いそいそと帰り支度をする。
だいちゃんに終業時間を聞かれたけど、会おうと約束したわけではない。
だけど私はそわそわしてしまう。
何か期待してもいいんじゃないかと、実に都合のいい考えが頭を巡るのだ。
そんな上手いこといくわけないのに。
いくわけないのに期待してしまうのは、私がだいちゃんに会いたいと思っているからに他ならない。
会社を出て駅まで歩き出したその時、
「咲良。」
背後から呼ばれて、私は歩みを止める。
私を呼んだのは、まぎれもなく、
「…だいちゃん。」
”津田さん”ではない。
私の知っているだいちゃんがそこにいた。
「まさか待っててくれたの?」
「いや。この近くの会社に用があったから、自社に戻らず直退にしてもらっただけだよ。だけどよかった、ちゃんと会えた。」
「…うん。」
そう言って、ふわりと笑うだいちゃんに、私は胸がいっぱいになった。
だいちゃんに終業時間を聞かれたけど、会おうと約束したわけではない。
だけど私はそわそわしてしまう。
何か期待してもいいんじゃないかと、実に都合のいい考えが頭を巡るのだ。
そんな上手いこといくわけないのに。
いくわけないのに期待してしまうのは、私がだいちゃんに会いたいと思っているからに他ならない。
会社を出て駅まで歩き出したその時、
「咲良。」
背後から呼ばれて、私は歩みを止める。
私を呼んだのは、まぎれもなく、
「…だいちゃん。」
”津田さん”ではない。
私の知っているだいちゃんがそこにいた。
「まさか待っててくれたの?」
「いや。この近くの会社に用があったから、自社に戻らず直退にしてもらっただけだよ。だけどよかった、ちゃんと会えた。」
「…うん。」
そう言って、ふわりと笑うだいちゃんに、私は胸がいっぱいになった。