嘘つきは恋のはじまり
すぐ近くのコインパーキングに、彼の車は駐車してあった。

「いつもは電車通勤なんだけど、今日は昼間に外出があって車で来たんだ。君の役に立ててよかったよ。」

なんて、イケメン発言をするものだから、私は恐縮してしまう。
助手席のドアを開けてくれてエスコートされ、まるでお姫様になったみたいで図らずとも胸が高鳴った。

「総合病院でいいんだよね?」

「はい。よろしくお願いします。」

車が走り出すと車内は薄暗くなり、改めて知らない男の人と二人きりだと思い知らされる。

私、こんな軽率なことして大丈夫かな?

こっそり彼の横顔を見やる。
端正な顔立ちにさらりと流れる前髪、きゅっと結んだ唇。

やっぱり、似ている。
さっき感じた妙な懐かしさ。

それは、小さい頃仲良しだった、「だいちゃん」に彼が似ているということだ。
だいちゃんは小学校4年生の時に転校してしまって、それっきりになっている。
そのだいちゃんに、目の前の彼は面影がそっくりだ。

何だか懐かしい気持ちになって、無意識に彼を見つめてしまっていた。
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