俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「上」
ロビンさんはそう言いながら、私の真正面に腰掛ける。

テーブルの上には、レモンティーとザッハトルテがある。私が頼んだもの。リリーのカフェの紅茶もスイーツもおいしいから、ダイエット中には絶対に行けない。

ロビンさんは私の頼んだものを一瞥し、一瞬顔をしかめる。なぜそんな顔をしたのかはわからない。でも、変な気分が私の胸を掴んだ。

軍服を着て、銃まで持っているロビンさんにリリーは怯えながらメニューをロビンさんの前に置く。

「ご注文がお決まりになりましたらーーー」

リリーがビクビクしながらも、笑顔を作り台詞を言う。しかし、それを途中でロビンさんは遮った。

「コーヒーをお願い。砂糖やミルクは結構。コーヒーだけでいい」

「か、かしこまりました…」

リリーは作り笑いのまま頭を下げ、キッチンへと足を急ぐ。

重い空気をなんとかしようと、私はメニューを開く。メニューはリリーの手作りで、かわいいイラストが描いてある。メニューがかわいいのも、このカフェの特徴だ。

「ロビンさんはここのカフェに来るのは初めてなんですか?」

私がそう訊ねると、「遊ぶ暇なんてない」とまた素っ気ない返事。

ロビンさんは、初対面では笑顔を見せてくれたけどだんだん笑わなくなっていったような気がする。私にどうして壁を作っているのか知りたい。

「ここのスイーツ、とってもおいしいんです!ミルフィーユも、タルトも、チーズケーキも!よかったら食べてみませんか?」
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