俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「上」
「肥満は軍人には禁物だから!」

冷たくロビンさんは返す。「そうですか…」と私は言いながら、痛む胸の傷をザッハトルテを頬張ってその甘さで誤魔化す。

「甘いものといえば……」

ロビンさんは目を細め、懐かしそうに語り始めた。

「リーバスは、孤児院にいた頃よく私にスイーツを作ってくれた」

それを聞いて、ドキッと胸が鳴る。リーバスは見かけによらず料理やお菓子を作るのが上手だ。私も作るけど、リーバスもお菓子を作ってくれる。

「私にも作ってくれます。ブラック・フォレストケーキとか、シュトレンとか。とってもおいしいですよね!」

私がそう言いながら微笑むと、ロビンさんは「いや、それは太りそうじゃない」と意地悪に笑う。

「私はもっとカロリーが低いものを作ってもらっていた。おいしくて太らないって女として大事だと思うんだけど」

まあ、たしかにそうかもしれない……。実際にリーバスのお菓子を食べ過ぎて、ダイエットしたこともあるから…。

黙り込んだ私に、ロビンさんは頰を赤くしながら笑顔で言った。

「砂糖が一つも入っていないけど、リーバスの唇や体はとても甘かった!」

「えっ……」

私の目の前が一瞬真っ暗になる。ロビンさんは何を言っているの?

私は、キスもそれ以上のことも、リーバスが初めてだった。でも、リーバスは違うの?
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