俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「上」
この写真を見るのは、自分も久しぶりだった。孤児院を出てから仲間とは一度も会えないままで、写真を見るたびに寂しさが込み上げてきた。だから、今日まで封印していたのだ。

しかし、今は寂しくなどない。それはきっと……愛しい人、クリスタルがそばにいてくれるからだろう。

「孤児院を出る時に記念に撮った写真だ」

六人の仲が良かった仲間と撮った写真を、クリスタルに見せる。セピアに染まった写真に、クリスタルの目は釘付けだった。

「わあ〜!リーバス小さい!かわいい!」

「か、かわいい?まあこの時は十六歳だったからな。まだここまで背は伸びていなかったが……」

孤児院にいることができるのは、十六歳までだ。俺は孤児院を出てからすぐに警察学校に入り、そこで訓練を受けて警察官となった。

「ねえ、この人たちのお話聞かせて!」

クリスタルが目を輝かせながら、写真を指差す。そんな顔をされれば断ることなどできない。

「こいつはロン・バインシュタイン。勉強がよくできたやつで、俺もよく教えてもらっていた。孤児院を出た後は、医者になるための勉強をするためにドリス国を出たんだ」

俺は一人ずつ指差しながら、思い出を語る。懐かしい孤児院での暮らしも思い浮かんだ。

「こいつはレミー・ヴァイオレッド。かなりの問題児で、しょっ中孤児院から無断外出をしていた。孤児院を出た後は、俺と同じ警察官になったんだが、地区が違うらしい。会えていないんだ」
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