俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「上」
「う〜ん…。あっ!「オレンジ」で食べたいなぁ。あそこのオムライス、すごくおいしいんだよね!」

「あそこは、肉料理も魚料理もうまいな!よし、そこにしよう!」

店まではここから二十分だ。俺は左腕を差し出し、クリスタルはその腕に自分の腕を絡める。温もりが、互いの体に伝わっていく。

「さて、行くとするか」

「うん!食べ終わったら、ちょっとブラブラして帰ろう!」

クリスタルが無邪気に笑う。この笑顔の女性は誰にも渡さん、そう思った刹那、俺たちの横に立派な馬車が止まった。辻馬車ではなく、貴族が持っているような豪華な装飾が施された馬車だ。

「こんばんは、クリスタル王女。もしよかったらお食事でもご一緒にしませんか?いいお店を知っているんですよ」

馬車の中からフィリップが顔を出し、クリスタルに笑いかける。クリスタルは俺の腕にさらにしがみついた。

「大丈夫だ。離したりはしない」

俺がそう言って微笑むと、「ありがとう」とクリスタルは安心したように笑う。これだから、クリスタルとは離れられない。

「フィリップ王子、申し訳ありませんが、私はリーバスと約束をしています。なので……」

「なら、私もご一緒させてください!!私の方がいいということを証明してみせます!!」
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