俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「上」
「馬車に乗ったら腕、離さなきゃいけないもん!」

クリスタルが俺の腕に顔をすり寄せる。俺は、「わかったから前を向け。転ぶぞ」と胸を高鳴らせながら言う。

するとクリスタルは笑いながら、「もし、転びそうになってもリーバスが支えてくれるから!」と言う。

俺は顔を赤くしながら、クリスタルのおでこを指ではたいた。



俺の考えた脱獄計画はこうだ。

まず、刑務所の外を巡回している刑務官に、セーラが差し入れに睡眠薬入りの紅茶を渡す。そして、いつものように俺に面会に来る。面会に行く際は俺の拘束は解かれるので、その時がチャンスだ。刑務官を倒し、セーラを人質に取るフリをして逃げる。その時、協力をしてくれる囚人が発煙筒を投げて視界を悪くする。その間に用意してあったボートに乗って刑務所をオサラバする。

人間の作り出したものに、完璧など存在しない。どこかに必ず隙がある。

脱獄決行の日は、少しずつ近づいてくる。

クリスタルとリーバスのマヌケな面を見る日ももうすぐだ。
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