俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「上」
フィリップは途端にふて腐れた顔になり、「何でこんな男が…」と俺に聞こえるように言い放つ。心は何も感じない。そう、こんな風に言われることはもう慣れている。

「こんな男だからこそ、好きになったんです!」

クリスタルがまっすぐフィリップを見つめ、言った。その目には、怒りが隠されている。

「正義感が強くて、自分を飾ったりせず、優しく、とても強い。そんなリーバスだからこそ、好きになったんです。こんな私を愛してくれて、受け入れてくれている。それが私にとって、どんなプレゼントよりも嬉しくて、特別で、幸せなんです!」

その言葉が、俺の心に染み渡る。俺の頭の中に、まだクリスタルがリリーだった時のことが浮かんだ。貴族に馬鹿にされた俺を、今のように真剣な目で庇ってくれた。

そのことが嬉しくて、守られることに幸せを感じたんだ。

クリスタルは俺の方を向く。その顔は優しい笑顔だった。そして、俺の頰を包んで引き寄せる。

優しい、優しいキスをした。心の傷を治していくほど優しいキスだ。
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