俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「上」

恋人と過ごす夜は温かい

ガルー国。そこは、ドリス国やタンバリー国から遠く離れた砂漠に覆われた国。

世界大戦が終わったものの、この国では内戦が未だに続いている。

その内戦を止めるべく、ドリス国やタンバリー国は軍隊を送った。ここはドリス軍の駐屯地。

「……ルイス！大変よ！あのジャック・グラスが脱獄したんですって！」

コーヒーを飲みながら新聞をめくっていた女性の軍人が、同期の軍人に新聞を見せる。

「そりゃ大変だなぁ」

同期は、興味がないと言いたげな表情で返す。それにムッとした女性の軍人はバンとテーブルを叩いた。

「あんたはもう少し世界情勢に興味を持ちなさいよ！！また世界大戦が起こったらどうするのよ！！この男が世界を翻弄させてたんでしょうが！！」

激しく怒る女性の軍人に驚きながら、同期は「ロ、ロビン、ちょっと落ち着けよ…」と言う。

「ジャック・グラスはギール国出身で、ギール国の刑務所に収監されてたんだろ？ギール国から出るとは思えない。それに、俺たちが今いるのはガルー国。関係ない話だ」

そう言われ、女性の軍人も少し落ち着いたようだ。荒くなった呼吸を整え、「そうね」と呟く。