俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「上」
ニュースを知った対策本部のメンバーは、辛そうな表情を見せた。かつて平和に導こうとともに手を取り合い、多くの国を旅した仲間だからだろう。

俺の中にも、紳士的なジャックの存在がいる。しかし彼は大罪人なのだ。警察官として警戒を怠ってはいけない。もしも目の前に現れたら、何としてでも捕まえなければならない。警察官の使命だ。

しかし、今はもっと深刻なことが起きている。それはクリスタルのことだ。

ジャックにナイフを突きつけられた過去があるクリスタルは、平気なふりをして怯えている。

笑っていても、どこかその笑いは固い。いつものクリスタルではない。

俺もまたクリスタルに刃が向けられるのでは、と恐怖を感じている。仕事に行ってる間に、ベルの散歩に行っている間に、クリスタルが攫われたり襲われたらと思うと、家の扉を開けることが怖くなった。

「クリスタル、もう食べないのか?」

俺の問いかけに、クリスタルは無言で首を縦に振った。

夜の七時。いつもは楽しい夕食も、最近はどこか暗い。

今日の夕食はハンバーグだが、クリスタルは半分も食べずにナイフとフォークをテーブルに置く。

「クリスタル、ちゃんと食べないとダメだ。最近体調もよくなさそうだ。きちんと眠ってもいないんだろう」

クリスタルの顔色は最近は少し悪い。体も少し痩せたようだ。
< 50 / 138 >

この作品をシェア

pagetop