俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「上」
街を歩けば、「おはようございます!」と人々が笑顔で手を振ってくれる。それが嬉しくて私も手を振り返す。

「クリスタル!リーバスさん、おはよう!」

買い物袋を抱えたリリーが、笑顔で言った。

「リリー!おはよう!カフェの開店準備中?」

私がそう訊ねると、「うん」とリリーは笑う。リリーのカフェはとても人気がある。おしゃれだし、料理も飲み物もおいしいから。

「ねえリーバス、対策本部のみんなを連れて行こうよ!アレックスたち、きっと喜ぶと思うんだ〜」

私は隣に立つリーバスに笑いかける。

私の頭の中には、おしゃれなカフェを見てはしゃぐフローレンスや小町、おいしい食べ物に目を輝かすリーとアレックス、ハーブティーの香りに目を細めるイワンが浮かぶ。

「そうだな。あいつらは喜ぶだろうな」

リーバスが笑う。その笑顔はとても優しげで、きっと対策本部のメンバーのことを考えているんだろうなぁ…。

「なら、その時は貸切にする?うちはいつでも大歓迎!」

リリーの言葉に私の胸が高鳴る。「ありがと〜!!」と言いながら、気づいたらリリーに抱きついていた。

「こら。街中だぞ!」

リーバスが私とリリーを引き離す。それでも、その顔は穏やか。

ジャックが脱獄したなんて嘘のように、流れている時間は穏やか。
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