俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「上」
ロビンがクリスタルを見て、不審人物を見かけた時のような顔をする。クリスタルがびくりと肩を震わせ、俺を見つめた。俺は慌てて説明する。

「彼女は、クリスタル・モーガン。タンバリー国の王女で…俺の最愛の人だ」

クリスタルの頰が赤く染まる。そしてクリスタルは立ち上がり、ロビンに手を差し出す。

「クリスタル・モーガンです。普段はボランティア活動と、世界平和対策本部の議長を務めるリーバスのお手伝いをしています。よろしくお願いします」

クリスタルは穏やかな表情で微笑んでいる。ロビンも「よろしく!」と笑って手を握った。

「私はロビン・ターナー。リーバスとは幼なじみってとこかな。軍人をしてるから、何か事件があったらいつでも駆けつけるよ!」

「それは頼もしいですね!」

クリスタルが笑う。交番には、穏やかな時間が流れていた。



交番の外から、ロビンの後をずっとつけていた俺は楽しそうに笑うクリスタルとリーバスの姿を見つけ、舌舐めずりをする。

ずっと会おうとしていた人間が目の前にいる。今すぐにでも、あの交番を破壊してやりたい気分だ。

しかし、まだその時ではない。もっとおもしろく事件は動かさなければならない。俺は、世界をまるで操り師のように糸で動かしていたのだから……。

犯罪は、美しくそして残酷でなければならない。
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