俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「上」
そこら辺で起こる痴漢や強盗などは、低俗な愚か者がすることだ。

しかし、たとえ新聞に載ったとしても、すぐに人々の記憶から消し去られてしまうだろう。犯罪なんて、年間で何百件も起きるのだ。

俺が求めるのは、何年、何十年、何百年経っても、人々の記憶から抜け去ることのない残酷な事件だ。誰も起こさないのなら、俺自身が美しい芸術作品のような素晴らしいものを作り出そう。

それにしても…あのロビンとかいう女、なかなかおもしろそうだ。

俺はロビンがクリスタルを見た刹那から、ロビンが抱いている感情が何かを知った。

それは、リーバスに対する恋心。そして、クリスタルに対する嫉妬。

それを隠した上で仲良くお喋りしているのだから、やはり馬鹿だ。おまけにリーバスは、クリスタルのことだけしか見えていない。ロビンの気持ちには一切気づいていないようだ。

「さて、どう駒を動かそうか…」

近くに大罪人がいるというのに、誰も俺に気がつかない。

平和ボケした民衆や警察を心の中で馬鹿にしながら、俺は潜伏先を探そうと交番から背を向けた。
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