俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「上」
エリザベスたちに先に行ってと地図を渡し、私たちはアリーチェさんに連れられ街外れの教会へと向かう。
向かっている間、私たちは会話をすることなく道を歩いた。
心の奥底にあったお母さんに会いたいという想い。出会えた喜びと、緊張が入り混じり何か言おうとしても言葉が出てこない。
そんな私を、隣でリーバスが心配そうに見つめていた。
「こちらです」
美しい白い外壁の教会。ここがお母さんの今いる場所……。
教会にある修道女の部屋。中にはテーブルと聖書が置かれただけの質素なもの。
「どうぞ、こちらへ」
アリーチェさんは、部屋に私とリーバスを入れ椅子に座らせる。そして温かい紅茶を出した。ティーカップに入っているのは、しっかりと濃い赤茶色。私の好きなルフナだ。
「ありがとうございます」
私はお礼を言って、紅茶に口をつける。香ばしく甘い香りが鼻をくすぐる。濃厚で深みのある味が舌の上を通っていった。
「クリスタル、と呼んでもいいですか?」
アリーチェさんは緊張したように訊ねる。私は首を縦に振った。
「クリスタル、初めまして。あなたの母です…」
アリーチェさんは微笑む。とてもきれいな笑顔。国王が手を出したのもわかるような気がした。
「……何で……」
私は少し震える声で言った。
「……何で、私を置いて行ったの?何で今まで私に会いに来てくれなかったの…?」
私の震える手を、リーバスがそっと包む。
向かっている間、私たちは会話をすることなく道を歩いた。
心の奥底にあったお母さんに会いたいという想い。出会えた喜びと、緊張が入り混じり何か言おうとしても言葉が出てこない。
そんな私を、隣でリーバスが心配そうに見つめていた。
「こちらです」
美しい白い外壁の教会。ここがお母さんの今いる場所……。
教会にある修道女の部屋。中にはテーブルと聖書が置かれただけの質素なもの。
「どうぞ、こちらへ」
アリーチェさんは、部屋に私とリーバスを入れ椅子に座らせる。そして温かい紅茶を出した。ティーカップに入っているのは、しっかりと濃い赤茶色。私の好きなルフナだ。
「ありがとうございます」
私はお礼を言って、紅茶に口をつける。香ばしく甘い香りが鼻をくすぐる。濃厚で深みのある味が舌の上を通っていった。
「クリスタル、と呼んでもいいですか?」
アリーチェさんは緊張したように訊ねる。私は首を縦に振った。
「クリスタル、初めまして。あなたの母です…」
アリーチェさんは微笑む。とてもきれいな笑顔。国王が手を出したのもわかるような気がした。
「……何で……」
私は少し震える声で言った。
「……何で、私を置いて行ったの?何で今まで私に会いに来てくれなかったの…?」
私の震える手を、リーバスがそっと包む。