俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「上」
お母さんは、ずっと私を想ってくれていた。それだけで、誰からも愛されなかった子供の頃が暗い過去ではなくなる。だって、どこかで私を想ってくれる人がいてくれたのだから。

「リーバスさん、クリスタルを愛してくれてありがとうございます。これからも、クリスタルをよろしくお願いします」

お母さんはそう言って、リーバスの手を取る。リーバスは「はい、命をかけて全力で愛します」と言いながらその手をしっかりと握る。

幸せな瞬間だった。



タンバリー国から帰国してすぐのこと。

その日は土砂降りの雨。その雨の中を、傘もささずに歩いているロビンを見つけた。

ロビンは傷ついている。なぜなら、ロビンにお土産を渡しに言った際に、リーバスとクリスタルは幸せそうに笑いあっていたからだ。全く、哀れだねぇ。

俺は気配を消し、素早くロビンの背後に回る。そして力いっぱい殴ってロビンを気絶させた。恋は盲目。周りを見えなくするから、隙だらけになる。

気絶したロビンを俺は抱き抱え、裏路地にある廃屋へと入った。

廃屋に入ると俺はロビンを長めの鎖でつなぐ。目を覚ました時に殴られたりしたらたまったものではない。

気つけ薬を取り出し、ロビンの口の中に入れる。そして素早くロビンから離れた。

「……ん……」

ロビンが目をうっすらと開ける。俺は声をかけた。

「お目覚めかな?勇ましいお姫様」
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