うそつきな彼は、わたし以外の人とキスしてる
*
走りながら、「だいすき」ともらす。
くーちゃんの家は、遠い。
はやく行かなきゃ、くーちゃんが怒っちゃう。
怒っていいのは、わたしのはずなのに。
すれ違ったカップルが、幸せそうに手を繋いであるいていた。
わたしだって、あんなふうに。
あの女が、くーちゃんとキスしてたあの女がしてもらっていたことを、くーちゃんにしてもらって。
そのときの感想が、わたしの方がいい、ってものじゃなきゃ……許さないよ?
「ついた……」
ドキドキしながら、チャイムをならす。
口角をあげながら、外にでてきたくーちゃん。
「急にどうしたの?」
その明るい笑みは、ニセモノ?ホンモノ?