うそつきな彼は、わたし以外の人とキスしてる
「くーちゃん……っ」
1歩、近づく。
そして、キスをした。
「……ん……っ!?」
驚くくーちゃんのことなんて、気にしない。
甘くて、深い。そんなキスをするの。
「……っ」
唇どうしを離すと、くーちゃんは目を見開いたあと、優しく微笑んだ。
『あぁ、これで、望み通りの女ができた』
そんな声がした気がした。
……でもね、くーちゃん。わたし、あなたの浮気を許したわけじゃないんだよ?
あなたの家にいったときから、ずっと、わたしは自宅で、くーちゃんの家での様子をみてたんだよ。監視してたんだよ?
あの女とのキスを実際に間近でみたときは、ドキドキしたけど。
そんなこと、どうでもいいよね。
これから、あの女としていたことを、全部やってみるね。
それで、感想を訊くの。
どんなに“よかった”と言っても……うそつきな君のことだもん。ほんとかどうかわかんないよね。
そんなときは、あの女との体験の動画を見返して、表情、声、吐息。全部、どっちがよかったか確かめてあげるね。
「これから、楽しみだね」
わたしは笑って、背伸びをし……くーちゃんの耳に、そっとキスをした。