うそつきな彼は、わたし以外の人とキスしてる
『これなら、あいつでも喜びそう』
想像した、"大人びている妹さん"が浮かべそうな喜んだ笑顔よりも、この男の人の方が、よっぽど嬉しそうで。
なんだかもっと、知りたくなっていた。関わりたくなっていた。
けれど、そんな気持ちを隠して、『楽しかったです。ありがとうございました』と頭を下げる。
『連れ出しちゃってごめんね』と謝られ、嬉しかったと伝えたくて、首を横にふる。
『あの、コーヒー代を』
お金を差し出すと、断られてしまった。
『そんな!』
食い下がらないわたしをみて、
『じゃあ、今度、デートしてください。そのとき、なにかおごってもらえたら幸いです』
彼があまりにも優しく笑うものだから、わたしはうなずいた。
それから、連絡先を交換して、わかれた。