うそつきな彼は、わたし以外の人とキスしてる
鍵を開けることさえも面倒に思えるくらい、ひとりぼっちだとか暗やみのなかだとか思ったけれど、自分の部屋にはいると、気分の悪さが消えてきた。
机のまんなかに置きっぱなしにしていたスマホを手にして、くーちゃんへ送るメールをつくる。
……やっぱり、はやく答えがほしい。
電話にしよう。
数回のコール音がやけに長く感じた。
ぷつ、と音がして、くーちゃんがでる。
「なに?」
いつもより低く感じる声は、さっきの女の子との関係を邪魔されたことにたいしての怒り?
それとも、ただ単に電話だから?
「くーちゃん、今から会える?
くーちゃんの家の前で、待ってるね」
会えるかどうか質問したのは、服従するいい女アピールをするため。
でも答えを聞かずに通話を切ったのは、反発のため。