硝子の恋
「山下入りマース」
ピッとタイムカードを入れてフロアに入った。
すると、矢野さんが不思議そうな顔をしてこっちを見ていた。
「山下さん、今日は休むんじゃなかったの?」
「へ?」
「貴方のお友達が来て、今日は山下さんお休みするからお給料取りに来てって頼まれたんですけど……って」
「ええええ??」
確かに今日はお給料日だ。そして私のところのバイトは振り込みじゃなくて今時珍しい手渡しになっている。
「その人たちって……藤井って名前じゃなかったですか?」
「そこまでは見てないけれど……普通なら本人以外には渡さないんだけど、山下さんに持ってきてって言われてるからって何時間もその子達が粘ったから、店長が根負けして渡しちゃったの」
「……ソレってドロボウになりませんか?」
「なるかもね。私にここを任せて警察行っといで」
「はい。ありあとうございます」
私はエプロンを外すと、駅前の交番まで走った。
でも、結果は散々だった。
「山下さん戻った?どうだった?」
「証拠がないから藤井さん達かは分からないって言われました。
一応、警察は調べてくれるらしいけれど、お金は戻らないかもね。って……」
「酷い、なにそれ!」
……本当にひどい。私が働いて手に入れたお金なのに……。
「私、店長に言っておくよ。今度こんな事あったら警察呼ぶから!」
「はい……」
落ち込んだ私をかわいそうだと思ったのか矢野さんが困り顔で私を見つめていた。
「今日はもう帰りなさい。あとは私がやっておくから」
「でも矢野さんもやることが……」
「大丈夫だって!今日は予定がないから」
そう言って矢野さんは笑ってくれた。その笑顔にちょっと救われた気がした。
「じゃあ、お言葉に甘えて帰ります。お疲れ様でした」
「はい、お疲れー」
私は重たい気分でバイト先を後にした。
多分、藤井さん達は今後こないだろう。そこまでは頭が回る人だから。
正直ショックなのは隠せなかった。お給料が出たら買いたい物が沢山あったし、将来のためにちょっとずつお金を貯めていたのに。
私は涙をこらえて、空を見上げる。空は真っ黒に染まり、星どころか月さえ見えていなかった。
ピッとタイムカードを入れてフロアに入った。
すると、矢野さんが不思議そうな顔をしてこっちを見ていた。
「山下さん、今日は休むんじゃなかったの?」
「へ?」
「貴方のお友達が来て、今日は山下さんお休みするからお給料取りに来てって頼まれたんですけど……って」
「ええええ??」
確かに今日はお給料日だ。そして私のところのバイトは振り込みじゃなくて今時珍しい手渡しになっている。
「その人たちって……藤井って名前じゃなかったですか?」
「そこまでは見てないけれど……普通なら本人以外には渡さないんだけど、山下さんに持ってきてって言われてるからって何時間もその子達が粘ったから、店長が根負けして渡しちゃったの」
「……ソレってドロボウになりませんか?」
「なるかもね。私にここを任せて警察行っといで」
「はい。ありあとうございます」
私はエプロンを外すと、駅前の交番まで走った。
でも、結果は散々だった。
「山下さん戻った?どうだった?」
「証拠がないから藤井さん達かは分からないって言われました。
一応、警察は調べてくれるらしいけれど、お金は戻らないかもね。って……」
「酷い、なにそれ!」
……本当にひどい。私が働いて手に入れたお金なのに……。
「私、店長に言っておくよ。今度こんな事あったら警察呼ぶから!」
「はい……」
落ち込んだ私をかわいそうだと思ったのか矢野さんが困り顔で私を見つめていた。
「今日はもう帰りなさい。あとは私がやっておくから」
「でも矢野さんもやることが……」
「大丈夫だって!今日は予定がないから」
そう言って矢野さんは笑ってくれた。その笑顔にちょっと救われた気がした。
「じゃあ、お言葉に甘えて帰ります。お疲れ様でした」
「はい、お疲れー」
私は重たい気分でバイト先を後にした。
多分、藤井さん達は今後こないだろう。そこまでは頭が回る人だから。
正直ショックなのは隠せなかった。お給料が出たら買いたい物が沢山あったし、将来のためにちょっとずつお金を貯めていたのに。
私は涙をこらえて、空を見上げる。空は真っ黒に染まり、星どころか月さえ見えていなかった。