硝子の恋

きしむ

学校にバイトに、行きたくない場所がじわじわと増えているのが、バカな私でも分かった。

学校に行きたくないと言っても、お母さんは私をたたき出して学校に行かせる。

お母さんには学校でいじめられている事は言っていない。

言って変わるわけでもないし?悲しませるのもいやだし?

ソレを考えると、普通通りにしているのが一番だった。

「きょーちゃんおはよ!」

同じ駅の由衣ちゃんが私を見つけて手を振ってくれた。

私も由衣ちゃんの所まで駆け出す。

「きょーちゃんって半袖着ないの?」

ふと、由衣ちゃんが聞いてきた。

「え?なんで?」

「だって制服いつも長袖だし、みんなで遊びに行った時も七分袖だったじゃない?」

「……毛の処理が面倒なんだ」

「女をすてるなよ~」

由衣ちゃんがそう言って私を小突く。

「今ならキャミとかでも可愛いのいくらでもあるのに……もったいないなー」

「んーでも、似合わないと思うから」

「そんな事ないと思うよ。あ、電車来た」

朝のラッシュで由衣ちゃんを見失わないように、必死について行く。

……まぁ、見失っても一番前の車両から3番目って決まっているから楽には楽だけど。

電車に乗っていつもの生徒会メンバー達と合流。

たわいもない話をしていた時、ちゃりんと音がした。

見てみれば500円玉が床に落ちている。

「あげるよ。ソレ。貧乏なんでしょ?」

拾い上げると同時に声が聞こえた。

藤井さんの声だ。

藤井さんはにやにやと笑って私の方を見る。

「こっちは臨時収入が手に入ったからさー。お金に困ってないの」

それは私のお給料を取ったから?

そう言おうといて、ぐっとこらえた。

警察も言ったように証拠がない。ヘタに藤井さん達に食ってかかっても、証拠がない分、私が不利だ。

私は拾った500円玉を元の位置に戻すと、優花ちゃんと聖子ちゃんが話している中に入った。

後ろでちっと舌打ちをする声が聞こえた。



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