硝子の恋
体育祭の日。

それは嫌になるくらい晴天だった。

私は一応、ジャージの下にTシャツを着て、アムカの場所に包帯を巻いていた。

ジャージは脱がないつもりだけど、何かあった時の保証ということで。

運動音痴の私は周りの足を引っ張るよー。とうことで長距離マラソンに参加した。

これが唯一、私の得意な競技だった。

なにせ自分のペースで走れるのがいい。

授業で体育を選択していない私がどこまでできるかわからないけれど、やれるまでやるつもりだ。

「足をひっぱる誰かさんがいなけりゃ勝てたかもしれないのにねぇー」

またか。

藤井さん達が笑う。

実際は藤井さん達もそんなに体育得意じゃないのにね。

まぁいいけれど。

「きょーちゃん、暑くないの?」

由衣ちゃんが心配そうに言ってきた。

「うん、ちょっと風邪引いて寒いのかな?」

「ダメだよ。しっかり体調管理しないと!

 保健室行こう?」

「大丈夫だよ。たいしたことないし」

「でも……」

「大丈夫デ~ス」

おどけて言うと、由衣ちゃんは「ならいいけど」と行って自分の競技場所に戻って石待った。

私もマラソン開場に移動する。

陸上部とか体育系の部活の人がいっぱいいると思ったけれど、そんな選手達は、もっと派手な競技に出ていたらしく、マラソンは、私と同じような、非体育会系の人たちの集まりだった。

……これなら勝てるんでね?

ぱんっと始まりの合図がなる。

それでも、焦らずに、自分のペースで走る。決して早くないそのペースで私はあっという間にビリに。

私を指さして笑っている人もいる。でもいーんですよ。私は私のペースで走るから。

暫く自分のペースで走っているとトーンダウンした選手達が歩いているのが見えた。

ゴールが見えて、今までためていた体力をフル回転。

そこでまた何人か追い越した。

ゴールしたときには酸素不足で頭がぐるぐるしていた。

「きょーちゃん凄い!3位だよ!!」

遠くで優花ちゃんの声が聞こえる……

……順位……3位か……ソレより……今なら死ねる……
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